2011年12月23日金曜日

デスモスチルス Desmostylus (2010)

デスモスチルス
Desmostylus

作品サイズ 15cm(成体)
縮尺 1/20
デスモスチルスを始めとする束柱目の動物は、保存状態の良い化石は日本に集中しており、日本を代表する古脊椎動物の一つ。また、その特徴的な骨格から復元については様々な説が提唱されており、謎の海獣、とも言われています。
この作品は、束柱目研究で著名な犬塚則久氏の監修の元に、沼田町化石博物館の展示用に製作したものです。 成長過程での頭骨の形状の変化の研究もあり、幼体の造型にはその研究も参考にしています。


こちらは、海中を遊泳中の姿。


























(Hirokazu Tokugawa  恐竜・古生物立体造形ギャラリー)

コペプテリクス(プロトプテルム類)(2011)

コペプテリクス
Copepteryx














コペプテリクスはプロトプテルム類の中の代表的な種類です。プロトプテルム類は世界でも、特に日本で多くの化石が発見されています。
プロトプテルム類は「ペンギンモドキ」と呼ばれる事が多く、またペンギンに近い姿に復元される事も多いのですが、この模型では京都大学・松岡 廣繁氏の監修の元、ペリカン目の鳥としての要素を盛り込んだ復元にしています。この作品は2011年の岐阜県瑞浪市化石博物館の特別展の展示に使用されました。


(Hirokazu Tokugawa  恐竜・古生物立体造形ギャラリー)

マチカネワニ Toyotamaphimeia(2010)

マチカネワニ
Toyotamaphimeia machikanensis
作品サイズ 40cm
縮尺 1/18

マチカネワニという名称は和名、学名はトヨタマヒメイア・マチカネンシスです。日本の大阪府・豊中市の待兼山で発見された化石は、大型のワニ化石としては世界的にも珍しい保存状態の良さです。

マチカネワニが一般的な現生のワニの姿と一番違う点は、背中に並ぶ装甲板・骨鱗板の形状です。現生のワニの骨鱗板は一つ一つが円形もしくは方形で、かつ真ん中が凸状になっています。これがワニの背中がゴツゴツした状態に見える理由。この骨鱗板が左右に3列ずつ並びます。
 国立科学博物館にて撮影のイリエワニの剥製。
背中の骨鱗板の形状と数が分かります。

一方、マチカネワニの骨鱗板は横に長く、また突起も無い「小判状」です。また、これが左右2列ずつ並ぶ点も現生のワニとの違いです。恐らく生きていた頃は、現生のワニに比べ凹凸の目立たない、のっぺりとした背中に見えたと想像されます>参考
余談ですが、豊中で販売されているマチカネワニサブレーが、偶然なのか、このマチカネワニの骨鱗板によく似ているのです。

その他、マチカネワニについての詳細は、『巨大絶滅動物マチカネワニ化石-恐竜時代を生き延びた日本のワニたち』(小林快次・江口太郎著:大阪大学出版会)を。
 また、 大阪大学総合学術博物館には、このマチカネワニの実物化石、そしてレプリカ組み立て骨格が展示されています。この作品も、現在そのマチカネワニ展示室の一角に常設展示されています。

(Hirokazu Tokugawa  恐竜・古生物立体造形ギャラリー)

2011年9月26日月曜日

アルケロン Archelon (2006年作品)

アルケロン イスキュルス
Archelon ischyros

作品サイズ 全長 20cm
スケール 1/20





2011年9月16日金曜日

ゴンフォテリウム(2011年作品)


ゴンフォテリウム 
Gomphotherium
肩高 22cm
スケール 約1/15



ゴンフォテリウムは、種類によってプロポーションに大きな違いがあります(>参考その1その2)。今回は、ドイツ・ゼンケンベルグ博物館に展示されている全身骨格と、その元になった標本のデータを参考に模型を製作しました。ゴンフォテリウムの中でも、大型かつ足の長いプロポーションが特徴的です。

2011年 ゼンケンベルグ博物館にて撮影


化石種の象の復元と言えば、まず難しいとされるのは鼻の長さと耳の大きさ、形状です。鼻に関しては、頭を下げた(俯いた)時に鼻の先が地面に届く長さにしています。耳に関しては、現在のアフリカゾウのような拓けたサバンナではなく、森林が主な生息環境だったのでは、と想像し、耳は小さめにしています。森林性が強ければ、アフリカゾウのように放熱のための大きな耳はあまり必要ないのでは、と考えたためです。

また、地味ですが復元が難しいのが、鼻の先の形状です。鼻の先は現生のアフリカゾウとアジアゾウでも形状が違います。今回は突起が2つあるアフリカゾウタイプにしていますが、これは全くの想像です。




耳や鼻と共に、ゴンフォテリウムのような、下顎が長く伸びている化石象の復元で難しいのは、 口の粘膜面、つまり口を閉じた時に見えなくなる口の中の形状です。下顎の先、先に突き出た牙の根元までが粘膜面、という復元も良く見られますが、今回は上 顎の牙の根元あたりに対応する部分が粘膜面、という表現にしました。
また、その下顎を覆う皮膚も、皮膚を突き破るように先の牙が生えるのでなく、あくまで口の中から牙が伸びている、という事を示すため、皮膚が左右から下顎の正中に向かって包むように合わさる、という表現にしています。




















主な参考資料
" Elephantoidea (Proboscidea, Mammalia) aus dem Mittel- und Obermiozän der Oberen Süßwassermolasse Süddeutschlands: Odontologie und Osteologie"
GÖHLICH, Ursula Bettina

"East African Mammals: An Atlas of Evolution in Africa, Volume 3, Part B"
Jonathan Kingdon


(Hirokazu Tokugawa  恐竜・古生物立体造形ギャラリー) 

2011年3月16日水曜日

プテラノドン Pteranodon

ゲオステルンゲルギア(プテラノドン) ステルンベルギ  (2007)
Geosternbergia (Pteranodon) sternbergi 

作品サイズ 翼開長 40cm
縮尺 1/20 
ゲオステルンベルギアとプテラノドンに関してはこちらの記事を。
この作品を製作した時はプテラノドンとして知られていましたが、現在ではゲオステルンベルギアでは、と言う説も出ています。
また、肩から手首までに張られる膜を支える翼支骨は、この模型を製作した頃に提唱されていた、真っすぐ前に伸びる説に基づいていますが、現在では以前より一般的だった肩方向にL字に曲がっていた説が再び有力になっているようです。



プロトケラトプス Protoceratops

プロトケラトプス
Protoceratops

作品サイズ 23cm
縮尺 1/10






















(解説文 準備中)

2011年3月13日日曜日

アクロカントサウルス  Acrocanthosaurus


アクロカントサウルス アトケンシス
Acrocanthosaurus atokensis 

作品サイズ 60cm
縮尺 1/20

閉口時に歯が唇に覆われて外に露出しない、
トカゲ型復元にしています。参考記事>























 製作&各部解説記事 

 主な資料

基本情報
・「世界最大の恐竜博2002」公式カタログ
・"A new specimen of Acrocanthosaurus atokensis (Theropoda, Dinosauria) from the Lower Cretaceous Antlers Formation (Lower Cretaceous, Aptian) of Oklahoma, USA" Currie, Philip J.; Carpenter, Kenneth. (2000).
・"Estimating Mass Properties of Dinosaurs Using Laser Imaging and 3D Computer Modelling" Karl T. Bates, Phillip L. Manning, David Hodgetts, William I. Sellers

首の筋肉について
 ・"Functional Variation of Neck Muscles and Their Relation to Feeding Style in. Tyrannosauridae and Other Large. Theropod Dinosaurs." ERIC SNIVELY  AND ANTHONY P. RUSSELL.

前肢の可動範囲等について
 "Range of motion in the forelimb of the theropod dinosaur Acrocanthosaurus atokensis, and implications for predatory behaviour"
Senter, Phil; & Robins, James H. (2005).

(Hirokazu Tokugawa  恐竜・古生物立体造形ギャラリー)


2011年3月2日水曜日

ダンクレオステウス Dunkleosteus

ダンクレオステウス テッレッリ
Dunkleosteus terrelli

作品サイズ 32cm
縮尺 1/25


・頭部
世界中で展示されているダンクレオステウスの頭部ですが、そのオリジナルはクリーブランド自然史博物館のもののようです。ですが、それぞ れの展示物により微妙な顔付きの違いがあり、どれを元にするかで雰囲気が結構変わるように思います。その違いの生じた理由は分りませんが、今回はネット上 で見つけた頭骨の側面写真(フィールド博物館の物)と各論文等に引用されている頭骨図のバランスを基本に、2008年にクリーブランド自然史博物館を訪れ た際に画像を撮ったダンクレオステウス頭骨の形状の要素を盛り込んで製作しています。どちらかといえば直線的な顔つきでしょうか。一方で、以前ディニクチ スとして論文等に引用される事が多かった頭骨図は丸顔で、そちらのイメージもなかなか魅力的ではあります。
ダンクレオステウスに関しては、顎の 可動に関する研究も発表されており、それによると口を開く際には、下顎が下がると同時に、上顎と胴体部の装甲との繋ぎ目にある関節部(?)も可動し、上顎 も上にあがるようです。その点も留意し造形しました。その研究によれば、この模型よりももっと大きく顎が上下に開くようです。口の中に関しては、現生のサ メをそのまま参考にしています。考察不足の感が否めませんが、どんな古生物でも口腔内の軟組織は毎回どうしていいやら途方に暮れる部分です。

・胴体
ダンクレオステウスの胴体を考察する際には、胴体部が発見されている数少ない近縁種であるコッコステウスを参考にしない訳にはいきません。当初はコッコス テウスのプロポーションをベースに製作、一度は塗装前まで完成させていました。当然尻尾は横に長いタイプとなります。大型の軟骨魚類という事で中~大型の サメのような縦に細長い三日月型の尾ビレも考えましたが、現生のホホジロザメのような機敏な動きが出来たようには思えず、また近縁種で良い標本が残ってい る以上、それを参考にするのが無難と考えたのです。が、その後、とある研究者さんとお話していた折に、ジンベイザメやウバザメのような、それほど機敏には 泳がないサメでも大型の種類であれば三日月型の尾ビレを持っている事を指摘され、ダンクレオステウスのような巨体の持ち主であれば三日月型の尾ビレでも良 いのでは、と考え変更しました。ただし、骨が入っていない尾ビレ下側は大型のサメに比べ大きさ控え目にしています。これは特に理由はなく、何となく、で す。また、ヒレがサメに近い構造である事を示唆する標本・研究もあり、全体的にも大型のサメに似た形状で完成させています。となると、胸ビレももっと長さ のある形でも良かったかな、とちょっと後悔していたり。また、コッコステウス型の胴体の異質な雰囲気もやはり捨て難いところです。
胴体の装甲部 と背ビレの間にあるウロコ(?)は完全に想像です。ダンクレオステウスとはちょっと系統が離れますが、板皮類の中には全身がしっかりとしたウロコで覆われ た状態で発見されている種類もあり、それならサメ型の復元を採用しつつも、少しはウロコの部分も残っていたりしないかな~という事で。造形的にも、ちょっ とアクセントが欲しかったですし。ちなみにオスとして造形しています。

・色
全くの想像です。結局サメ型の胴体としての造形になったので、胴体はベタにサメっぽい色です。背ビレ、尾ビレの先には少しアクセントを入れています。と、全体としては胴体は無難な色になったので、頭部と胴体の装甲部分は派手目に。

胴体が難しいのは予想通りでしたが、頭部についても魚の基本的な知識の無いこともあって、意外に苦戦しました。正直に言えば、顎関節周りの構造や筋肉がど うなっているか、ほとんど理解していません、、、。また、これまであまり魚類の造形の経験が多くないという事で、「魚らしさ」の表現のツボが掴み切れてい ないもどかしさも。あとは、まぁ何といっても、前回の絶滅哺乳類大会の「毛が無いネタばかり選んでスイマセン」に続き、今回も「ウロコの無いネタ選んでゴ メンナサイ」です。

*その後、著名な化石魚類研究者で、下記の参考文献にある書籍の著者でもあるジョン・ロング氏より、この作品への感想を頂きました。好意的な評価を頂き、現段階では特に問題のある表現では無いようです。(2011年4月 追記)



主な参考資料

「The Rise Of Fishes」(Johon A.Long)
「Swimming in Stone」(Johon A.Long)
「Early Vertebrates」(Philippe Janvier)
「Placodermi (Handbook of paleoichthyology)」(R.Denison)
「古生代の魚類」(J.A.モイ-トマス、R.S.マイルズ)
「恐竜解剖」(クリストファー・マクガワン)
「サメ・ウォッチング」(ビクター・スプリンガー、ジョイ・ゴールド)
「世界サメ図鑑」(スティーブ・パーカー)

・The vertebrate fauna of the Cleveland memer(famennnian) of the Ohio shale( Robert K.Carr and Gary L.Jacson)
・The ancestral morphotype for the gnathostome pectoral fin revisited and the placoderm condition(Robert K. Carr, Herve Lelievre and Gary L. Jackson)
・PLACODERM BRANCHIAL AND HYPOBRANCHIAL MUSCLES AND ORIGINS IN JAWED VERTEBRATES(ZERINA JOHANSON)
・DID PLACODERM FISH HAVE TEETH?(GAVIN C. YOUNG)
・http://www.foxnews.com/story/0,2933,232600,00.html

尚、学名の読みについてですが、ラテン語読みに近い発音にすると「ドゥンクレオステウス テッレッリ」かと思いますが、ここでは一般的に認知度が高いと思われる「ダンクレオステウス」で表記しています。

(Hirokazu Tokugawa  恐竜・古生物立体造形ギャラリー)

2011年3月1日火曜日

ニジェールサウルス Nigersaurus

ニジェールサウルス タクエティ
Nigersaurus taqueti

作品サイズ 50cm
縮尺 1/20

この作品は、福井県立恐竜博物館・特別展「アジア恐竜時代の幕開け-巨大恐竜の進化-」にて展示されました>展示の様子


主な参考資料

「大恐竜展 知られざる南半球の支配者」(2009)公式カタログ

"Cretaceous Sauropods from the Sahara and the Uneven Rate of Skeletal Evolution Among Dinosaurs". Paul C. Sereno, Allison L. Beck, Didier B. Dutheil, Hans C. E.Larsson, Gabrielle H. Lyo, Bourahima Moussa, Rudyard W. Sadleir, Christian A. Sidor, David J. Varricchio, Gregory P. Wilson, Jeffrey A. Wilson

 頭部と首の角度等について
"Structural Extremes in a Cretaceous Dinosaur"
Paul C. Sereno, Jeffrey A. Wilson, Lawrence M. Witmer, John A. Whitlock, Abdoulaye Maga, Oumarou Ide, Timothy A. Rowe


主に背中の筋肉について
"Reconstruction of the Thoracic Epaxial Musculature of Diplodocid and Dicraeosaurid Sauropods"
Daniela Schwarz-Wings


歩幅等
"steps in understanding sauropod"
joanna L. Wright

"BURLY GAITS: CENTERS OF MASS, STABILITY, AND THE TRACKWAYS OF SAUROPOD DINOSAURS"
DONALD M. HENDERSON


首の復元について
"Pneumaticity and soft−tissue reconstructions in the neck of diplodocid and dicraeosaurid sauropods"
DANIELA SCHWARZ, EBERHARD FREY, and CHRISTIAN A. MEYER


(Hirokazu Tokugawa  恐竜・古生物立体造形ギャラリー)

2011年1月1日土曜日

エステメノスクス Estemmenosuchus mirabilis

エステメノスクス 
Estemmenosuchus mirabilis
作品サイズ 30cm
縮尺  1/10


 哺乳類型爬虫類の1種です。ミラビリスとウラレンシスの2種の頭骨が紹介される事が多いですが、今回はより派手な頭を持 つミラビリスを製作しました(というか、本等を見てもエステメノスクス=ミラビリスなんですよね)。資料に関しては、そのほとんどが頭骨のみ。92年の 「最後の恐竜王国」のカタログに全身骨格の良い写真が紹介されていますが、頭方向からの写真のためパースがかかり、さらに化石が見つかった部分だけで組ん だ(未発見の部分は空白になっている)良心的(?)な骨格展示のため、逆に全身のバランスが分らず悩みました。
 強そうな頭の飾りと立派な牙で、いかにも肉食性という感じですが、植物食だった、という説なんだそうです(参考「哺乳類型爬虫類」金子隆一 著  朝日選書)。いわれて見れば、長い牙と太い胴体の組み合わせはカバっぽくもありますね。

コティロリンクス Cotylorhynchus

コティロリンクス 
Cotylorhynchus
作品サイズ 40cm
縮尺  1/10

 ペルム紀最大級の植物食動物で、太い胴体に不釣合いなほど小さい頭部と、造型意欲を沸き立てるネタにも関わらず、全身骨格の資料が少なく造型出来なかった動物。 07年、オクラホマ・サムノーブル自然史博物館で全身立体組立骨格と対面。画像を撮りまくって、それを資料に製作出来ました。歩き方はコモドドラゴンを参考にしていますが、何せ大きさも重さもコモドドラゴンに比べればずっと上なので、もっと鈍重そうな歩き方にしたほうが雰囲気があったかも知れません。
 地味な動物と思うのですが、やはりその頭の小ささが興味を引くのか、展示していると他の作品よりも幅広い層から感想を頂いたり、質問されたりする事の多い作品です。個人的には、かなり濃いマニアや研究者受けを狙いだったんですが。
 追記: 日本語 版ウィキペディアのコティロリンクスの項では、この動物が上顎にしか歯がない、と説明されています。英語版ウィキペディアに同様の説明があるので、それの 翻訳を思われます。ですが、ネット上には下顎にも歯がある頭骨図がありますし(研究者による記事に引用されていますし、その記事がウィキペディアからリン クされています)、書籍・論文にも同様の図版があります。また、私が標本を見たときも歯はありました。下顎に歯がない、とする説明の根拠は不明です。

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作品サイズ 全身模型 翼長 85cm
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