Darwinius masillae
作品サイズ 全長55cm
縮尺 実物大
京都大学総合博物館の霊長類展示リニューアルに合わせ製作した作品。監修は高井正成氏(京都大学霊長類研究所)です。
ダーウィニウスの属するアダピス類は現生のキツネザル類の祖先の系統とされますが、ダーウィニウスと現生キツネザルの外見上の大きな違いとして、下顎切歯(前歯)と後肢第2指の爪の形状が挙げられます。現生キツネザルの下顎切歯は櫛の様な形で前方に突き出していますが、ダーウィニウスにはその特徴は見られません。
また、この模型の元となっているイーダと呼ばれる個体は、完全な大人になる前で、歯もまだ生え変わり中です。この模型でもあまり尖っていない生え変わり前の乳犬歯など、永久歯と乳歯が 入り交じっている状態を再現しています。
後肢第2指(人差し指)の爪は、現生キツネザルではカギ爪状になっていますが、ダーウィニウスでは他の指と同じ平たい爪であったと考えられています。
その他、頭骨形状やプロポーション等、キツネザルのようでキツネザルでない部分も表現しています。
とはいえ、復元をするにあたって、やはり一番の参考は現生のキツネザルです。現生のキツネザルの事が判れば、ダーウィニウスの特殊性や復元として表現しなければならない事も判る訳です。勿論、復元については監修の高井先生からの指示の元に進めるのですが、一方で「キツネザルの魅力」も知っておきたいな、と考えました。そこで、作品製作にあたり天王寺動物園獣医の佐野さん、そしてキツネザル好きが高じてマダガスカルまで行ってしまう造形作家・アクアプラント守亜さんにも、いろいろとキツネザル話を伺いました。その動物を良く知る人、好きな人から観る「面白さ」を聞くと、資料を見る時にも役に立ちましたし、単純に面白い話が聞けて良かったな、とも。
京都大学総合博物館での展示
キャプションにも模型製作者で名前を入れて頂きました。英語表記もあるのですが、肩書は「Paleo-Artist」です。展示物製作者としてこの肩書&英語で名前が入ったのは、これが日本で初めてのような。
追記:
この作品に関して、2018年2月の日本古生物学会にてポスター発表を行いました。
模型監修&今回の共同発表者の高井正成先生(京都大学・霊長類研究所)との記念撮影。