2013年6月17日月曜日

プラテカルプス (2013)



プラテカルプス・テュムパニティクス
Platecarpus tympaniticus
北米
 白亜紀後期
 模型サイズ 45cm
縮尺 約1/10

恐竜や翼竜など、他の中生代の爬虫類の復元が、研究の進展の中で大きく変わる事が多い中で、プラテカルプスを含むモササウルスは約100年間、ほとんど復元が変わっていない部類に入っていたかと思います。その姿が大きく変わるきっかけになったのが、2010年のプラテカルプス・テュムパニティクスに関する論文です。ほぼ完全に全身が関節した状態で保存された骨格から、このプラテカルプスがサメや魚竜と同じような三日月型の尾鰭を持っていた事が推測されました。恐らくティロサウルスプロトサウルス等、その他のモササウルス類も尾鰭を持っていたと推測されています。
また、その標本には、体の各部のウロコの跡も残っていたため、プラテカルプスはモササウルス類の中でも精度の高い復元を試みる事が出来る種類になっています。



顔と首、胴体のウロコの形状の違いも、出来る限り表現しています
(といっても、ウロコは全体的に大きめになっていますが)




この模型は、2010年の論文の発表者の一人でもある小西卓哉さん(カナダ・アルバータ大学)に見ていただきながらの製作でした。といっても、個人作品で締め切りも無かったので、他の作品製作の合間に少しずつ作業を進め、その画像を見て頂く、という事で結局完成まで3年掛かっています。その間に、さらに研究が進んだ事もあり、それも作品に取り入れながらの製作となりました。



2010年の論文の元になったプラテカルプス標本
(2013年・ロサンゼルス郡立自然史博物館にて撮影)


主な参考資料
"Convergent Evolution in Aquatic Tetrapods: Insights from an Exceptional Fossil Mosasaur"
 Lindgren, J.; Caldwell, M.W.; Konishi, T.; and Chiappe, L.M. (2010).

きしわだ自然資料館・モササウルス展示